蜂に追いかけられた話

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小学校の頃、毎年決まった時期に墓参りに行っていた。

わたしの実家のお墓は、ちいさい丘の斜面に作られていて、斜面の中ごろのすこし上にわたしの先祖が眠っているという場所があった。
バケツで水を汲み、ひしゃくでそれをかけ、掃除したあと、蚊に噛まれながらお線香をあげて数珠を持って拝んでいた。

ある年、妙に蜂が増えはじめた。
刺されたら痛そうな蜂で、それを避けつつ水をかけて線香に火をつけ拝むのは一苦労だった。

ある日、蜂が増加した原因を突き止めるべく、家族で墓参りに行った。
墓の廻りの藪をチェックしたが、どうやらそこにはいなさそうな気配。

蜂の動きを観察していると、お墓の骨を入れるスペースの蓋の隙間に入っていく。
「ここにおるんじゃろうか」
と、父が蓋を軽い気持ちで開けると、すごい勢いで蜂が噴出してきた。

巣をつくっていたのである。

撃退するためのスプレーも間に合わず、お墓のある丘の急斜面を4人で駆け足で降りていった。

息も絶え絶え、蜂から逃げ切れたとホッと一息つき安堵していたが、数匹が服にくっついており、刺されて激痛が走った。

父も母も刺されていたが、いちばん刺されていたのは弟だった。
あのときほど、弟が可哀想だとおもったことはない。