Vol.4 シネマヴェーラ渋谷編
シネマヴェーラ渋谷への道のり
「名画座」とは、いったいどんな場所なのだろうか……?
案内人は、のむみちさん。名画座の上映案内フリーペーパー『名画座かんぺ』を発行している、いわば今の名画座を知り尽くした方だ。
同行するのは、漫画『とんかつDJアゲ太郎』の原案を手がけるイーピャオさん。
ふたりで都内主要5館の名画座を1日で行脚、名画座の魅力に迫る!!
フィルムセンターでアーカイブを学んだイーピャオさんとのむみちさん。銀座線で京橋駅から渋谷駅へ。渋谷駅に降り立ち、一路シネマヴェーラ渋谷へ。
腹減った〜さっき新文芸坐でカレーパン食べたかった〜。
……すいません。
ヴェーラはどのルートで歩いていくかいつも悩みどころなんだけど、私はだいたいここを通ってる。
意外な動線ですね……!マークシティの一番奥まで行って道玄坂へ抜ける……これは画期的です!普通はスクランブル交差点から普通に道玄坂を上がっちゃうけど、これなら人ごみも少ない。
いいでしょ?
円山町に入りました。ここらあたりはクラブが多いですね。
これは「エイジア」、これは「ラウンジネオ」ですね。
さすが〜(笑)!
いやいや(笑)ちょうど、円山町のあたりは『とんかつDJアゲ太郎』の主人公・アゲ太郎が住んでる設定なんですよ。
シネマヴェーラ渋谷に到着
ひとつの建物にいろいろな施設が入ってるんですね。
そうなんだよ。ユーロスペースはミニシアターで、ユーロライブは落語をやったりもしてるし、学校も入ってるしね。
こんにちは〜。
今日はよろしくおねがいします。
随分モダンな内装ですね…!
この照明は雰囲気がありますよね。
うん。すごくオシャレだよね。でも、かかる映画は昭和の邦画だったりして、そのギャップが面白いんだよ。
ロビーにはポスターが飾られているんですね。
ポスターは特集に応じて提供してくださる方がいて、ロビーを賑やかしてるんだよ。
ジャンルごとにね。日活、東映、松竹、新東宝……館としては、こういった資料は何も持ってないんですよ。
受付でチケットを買って入るの。ここも会員制度があって、会員になってると1100円。中学生以下500円っていうのが珍しいかな。中学生のお客さんは来られます?
よく来る子がいます。あと、ミュージカルのときとかは子供連れで来られたりしますね。
なるほど〜。二本立てで1100円って、安いですよね。
安すぎるんですね。貧乏性なので、お客さんが来ないかと思っちゃうんですよ。
ここにヴェーラのチラシが受付の前に置いてあって、『名画座かんぺ』はここに置いていただいてる。
特集関連本も販売してるんですね。
もちろん『名画座手帳』もね!
シネマヴェーラ渋谷の特徴
シネマヴェーラの特徴は、内藤支配人の旦那さん(内藤館主)が弁護士さんなんですけど、自分でフィルムを買ってるんですよね?
ハリウッドの古いものを上映してるんですが、そのときにかけるのは個人的に買ったフィルムで、自分たちで字幕をつけてるんです。昔は16ミリを買って字幕を付けていたんですが、大変で(笑)。最近はブルーレイで字幕をつけて上映しています。だから権利はうちが持っていて、最近は貸し出すことも多いんです。
それがいちばんの特色かもしれないね。
フィルムはどうやって保管されてるんですか?
フィルムを預けるための倉庫を借りています。
こちらの建物はいつ頃できたんですか?
2006年の11月です。ユーロスペースの堀越(謙三)さんと一緒に場所を探して、ここをみつけました。最初はTSUTAYAさんが入ってたんですが、TSUTAYAさんはなくなって、今は映画美学校が入ってます。
他の名画座とくらべても新しい場所なんですよね。
ラピュタ阿佐ヶ谷さんとうちは親会社がないんですよね。そこも特徴かも知れません。
最終上映は何時くらいですか?
終りは遅くても10時半位に。終電がありますし、最終回は9時に始まらないと遅いかなと思っています。
そこからクラブに繰り出すのであればちょうどいいですね……!
番組編成は、昔は内藤館主がされていたんだけど、この2~3年は奥様の内藤支配人がやられていて。「名画座かんぺ」をやってると、スケジュールが出るのが遅くて困ることもあるんだけど、内藤さんになってからはすごく早くなって(笑)。
もう来年の話してるからね(収録は9月末)。
ホントね、やり手なんですよ。
常に二手三手先を考えられてるんですね。
すごい先々まで決まってるから、「かんぺ」に書くのに困ることは一切ない。けっきょく余裕を持って組んでるから、トークが充実していて……最近は特に充実してますよね。
トークイベント自体は、そんなに得意ではないですけどね。
荒木一郎が来たり、芹明香が来たり…最近いちばん話題のトークかも。芹明香は公の場に出るのは6年ぶりだし。人脈がすごいんですよ。あと、お願い上手なの(笑)!だから、協力してあげようって思わせるのが上手なんだと思う。
1階のLOFT9 Shibuyaカフェスペースへ
やっとありついた。カレーパンが無かったからね。
……。
……。このからあげ、レモン、かけていいですか?(後輩気質)
★お腹もいっぱいになったところで、次回はいよいよラスト!ラピュタ阿佐ヶ谷!
構成:トマソン社
登場人物
のむみち
1976年宮崎県生まれ。池袋古書往来座店員。
2009年に旧作邦画に目覚め、名画座と出会う。
2012年にひと月の都内名画座スケジュールを一覧表にしたフリーペーパー「名画座かんぺ」を創刊。
2016年に5年目を迎えた。
イーピャオ
東京都出身。ジャンプ+にて連載中の漫画『とんかつDJアゲ太郎』原案担当。
普段は会社員。